クラムボン ミトに聞く、バンドが危機的状況下で向き合うべき問題 「生活を守るために今の世界と戦わなければいけない」(リアルサウンド) - Yahoo!ニュース
Judul : クラムボン ミトに聞く、バンドが危機的状況下で向き合うべき問題 「生活を守るために今の世界と戦わなければいけない」(リアルサウンド) - Yahoo!ニュース
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クラムボンのミトのインタビューである。そもそもは5年前の2015年、アルバム『triology』リリース時に本サイトで筆者がやらせてもらったインタビュー(クラムボン・ミトが語る、バンド活動への危機意識「楽曲の強度を上げないと戦えない」)が今回の取材の起点となっている。ミトがさまざまに語ったポップシーンの最前線の現状についての考察や、それに対してクラムボンはどう考え、どう戦い、どういう音楽を作っていくか、などなど、あまりに赤裸々で率直な意見と決意が述べられ、公開当時かなりのバズを巻き起こした。 その2年後の2017年、今度は『モメントe.p.』時にもインタビュー(クラムボン・ミトに訊く最新バンド論 “直販スタイル”で遂げた創作活動の純化)させてもらったが、その後音楽業界はどう変わっていったか、あのインタビューで話されていたことの答え合せや2020年の地点から見る考察、あるいはあの時点で語りきれなかったことの補完などを、もう一度取材という形で語りたいというミトからの申し出が、今回のインタビュー実現の経緯である。 5年の間にクラムボンはメジャーを離脱し完全自主制作・自主原盤・自主流通のインディペンデント態勢に移行、ライブと、ツアー会場(と、来場者有志による店舗)限定販売のEPシリーズ『モメント』のリリースという両輪で活動を続けてきた。旧来的な音楽業界のサイクルとは別のところで確固たる地位を築いている。それに飽き足らず、今年になってからも『エレメント』という新しいシリーズを始め新曲「夜見人知らず」を発表するなど活発な動きを見せ始めていた。ミトの作曲家/編曲家としての活動を始め、メンバーそれぞれの課外活動も活発化していた。 しかしそこに降って湧いたように訪れたのが全世界的な新型コロナウイルスの蔓延である。このインタビューも、人類全体に、そして音楽を含むあらゆるエンタテインメント産業にも甚大な影響を及ぼしているこの危機的状況を前提にした話にならざるをえなかった。だがミトはこんな先の見えない現状であっても、決してネガティブになったり投げやりになったりしていない。彼の力強い言葉をぜひ味わっていただきたい。(5月19日取材/小野島大) ■ライブの形態自体が変わっていかざるを得ない ーー最近はどんな日々を送っているんですか? ミト:コロナが流行り出す前からその兆候はあったんですけど、ありがたいことに最近は作家仕事が結構立て込んでて。しかも自粛期間に入った頃ぐらいからそれがまた強烈に加速してきたんですよね。 ーー仕事が増えてきたってことですか? ミト:増えてきたんですよ。自粛前に比べるとけたたましいレベルで忙しくて。もう、のべつ何か作ってる。だから、コロナの影響で仕事が落ち着いてるっていうことはないですね。実はバンドも落ち着いてはないんです。同じように何か作っていたりして。 ーーでもクラムボンの公式サイトのニュース欄を見てると、ライブの中止やイベントの中止のお知らせばかりずらりと載っていて、これは辛いなぁと思いました。 ミト:そうですね。ライブやフェスは壊滅的なので。もう考え出すと切ない気持ちしか出てこないんですけど。 ーーライブの予定が飛んだことによって、バンドの活動や音楽家としての活動のペースはどう変わってきました? ミト:まずリハーサルがないので、移動するとかそういう時間が必要なくなった。あとは、プロモーション的な部分が前とはちょっと変わってきている。以前だったらライブ中にMCをして大人数に直接プロモーションする、みたいなやり方があったけど、今は基本SNSベースでやってます。あと、個人的に一番気になっているのはライブチーム。テック(楽器管理)の人やPAをはじめ、ライブハウス、照明、コーディネーター、プロモーターなど。その方々のことを考えると胃が痛くなります。ライブハウスの閉店が相次いでますけど、この騒動が終わった後の更地というか、戦場跡地みたいになっている状況を見て、はたして自分の精神が普通でいられるのかなっていうことを考えたりはしますね。 ーーこの状態がしばらく続くとなると、ミュージシャンの活動の基盤となるものがどんどん崩れていってしまう。 ミト:いや本当にそうです。まず、大方みんな思っているであろうことを非常に残酷に言えば、ここ何年かはもうかつてと同じような形でライブはできないと思うんですよ。いわゆるソーシャルディスタンスとかの理由で。スタンディングで300人キャパの会場に満員とか250人入れて、みたいな、多分そういうライブはもう難しいんじゃないかな。 ーーワクチンでも開発されて完全に収束するまでは無理っていうことになるかもしれません。 ミト:だと思いますよ。例えば、3.11のときはリテラシーの問題だったり、当時のムードだったり、そういうものに追随した形での道徳観とか、そういう観点で自粛したり、否定されたり、反対されたりとかはありましたけど、でも今回のことは、誰にでもどこにいようとも起こりうる災害じゃないですか。ここまで浸食してしまうと、やっぱりライブの形態自体が変わっていかざるを得ないのではないかと思いますけどね。 ーー『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』が中止になりましたけど、例えば警戒宣言が解除されて自粛要請がなくなったとしても、自分たちが開催したライブやフェスがクラスターの発生源になる恐れはあるわけで。そういうライブ・イベントの開催を決断すること自体が心理的に非常に高いハードルになってしまう可能性がある。 ミト:そうですね。ここ何年かはもう変えようがないんじゃないかな。これまでバンドのアドバンテージって、大きな音を出してみんなで共有してその熱量的なものをみんなで分かち合ってっていうのがデカかったんですけど、今は分かち合っちゃダメですからね。 ーー「共有」ってものが今の状況下では成り立たなくなっちゃった。 ミト:そういうことですよね。でも今は答えを導き出すことに注力する暇さえないので、その打開策を考えるより、日々僕らの周りにいるスタッフの生活とか、そういうことを大前提に考えないと本当に回らなくなってきているかな、って思うんですよ。 ■ライブで再現できないことを取り入れれたら面白いんじゃないか ーークラムボンの活動全般にとって、今回のコロナ危機はほかにどういう影響を与えていますか。 ミト:僕らの場合は本当にそういった意味ではラッキーなんですけど、実は活動のカードはいくつかあるんですよ。コロナ禍になる前から、来年はこういうふうにしていこうって考えていた活動が、たまたまコロナで外に出なくてもある程度プロモーションもできて販売的なものもできる。なのでクラムボンというコミュニティの中では、活動が止まることはなかったです。例えばそれが、『エレメント』シリーズで。 ーー4月に『エレメント』シリーズの第一弾として新曲「夜見人知らず」を発表しましたね。 ミト:あれも実はコロナ禍になる前から、配信にもちゃんと手を伸ばせるような『エレメント』シリーズの活動と、『モメント』シリーズみたいな(ライブ会場やファン有志の店舗等での)実売直売的な活動を並行でやるのが私たちらしいんじゃないか、ってことは一昨年から考えてたんですよ。それを去年の年末ぐらいには出そうと思ってたんですけど、ちょっと色々あって延びてしまって。それで今年の4月ぐらいの桜が咲く頃に、「夜見人知らず」のリリックのテーマが桜だったのと、コロナでの閉鎖感と若干リンクすることだったので、急遽出したんです。それで、準備してる最中にその過程を思い返してみたら、これ本当に全部ソーシャル・ディスタンス・システムで作ってたんだって思って。 ーー具体的にはどういう制作方法だったんですか? ミト:単純に僕がトラックを作る。そしてメンバーに確認をとる。その確認をとった後に、例えばリズムや歌のアイデアを出してもらったりとか。で、歌だけはうちのスタジオ兼作業場で録ったんです。(原田)郁子さんにはボーカルブースに基本ステイしていただいて。なので直接ではなく、板を一枚挟んでる状態で歌を録りました。(伊藤)大助さんはなんだかんだ他のプロジェクトで、バンドのレコーディングの活動はしてたりするんですよ。その最中に『エレメント』用のサンプルとかを、合間に録らせてもらって、それを僕が編集して。それで、ミックスやマスタリングはオンラインで大丈夫なので、エンジニアはニラジ(・カジャンチ。『モメント e.p.3』も担当)に全部お願いしました。 ーーなるほど。 ミト:たまたま今回は『モメント』でやったようなバンドでのレコーディングではなくて、『エレメント』というシリーズで、配信を専門とするクラムボンのプロジェクトを立てようってことだったので、普通にバンドでやるんじゃなくても、打ち込みとか普段ライブとかで再現できないことを取り入れてやったら面白いんじゃないか、と話してました。例えば郁子さんの声、あんなにいい声なのにわざわざ変調させたり歪ませたり。後は打ち込みだったりとか。そういうものを前面に出した感じで、『モメント』は『モメント』、『エレメント』は『エレメント』っていう雰囲気を出していけたらいいんじゃないのかなって思ったんですよ。 ーーバンド的な空気感を大切にする『モメント』シリーズがあって、一方で配信で発表することを前提とする、もっとインナーな雰囲気や打ち込みを中心とした『エレメント』の両面を考えていた。去年からその構想はあったけど、今回のコロナ禍によってライブも全員集まってのレコーディングもできない状況になってしまって、必然的に打ち込み中心の、インナーなクラムボンが表に出てきた。 ミト:そういうことなんですよ。そこにはサブスクにおけるラウドネス規格の影響もある。 ーーというと? ミト:今日本のテレビの業界はラウドネス規格っていう音量調整基準が使用されてるんですけど。実はこれ音楽家にとっては非常に弊害があるんです。音が大きすぎないようにリミッターをかけるんですけど、こちらが大きすぎるとものすごい勢いで小さくなり、迫力もなくなるんです。ただ、そのラウドネス規格の音域って大雑把にいうと実は上側、ギターの音だったりボーカルの音だったり中高域が基本メインなんですよ。低域はあんまり重要じゃないんです。だからこそ僕はその低域を武器にしたらいいんじゃないかなと思ったんですよ。そうしたら、どんどんネットで配信されているサブスクのものも同じようなラウドネス規格を持ち始めて。 ーーSpotifyやApple Musicと、Amazon Music HDやmora qualitasのようなハイレゾ・ストリーミングの違いって、音はもちろん後者の方がいいんですけど、何が一番違うかっていうと中高域の透明感や伸びと空気感だと思うんです。だから、ローに関しては別にSpotifyもハイレゾ・ストリーミングもそんなに変わらないっていうか。 ミト:でも、ミュージシャンやバンド、タレントさんにとってはそこが一番重要なんですよ。どんなサブスクで聴こうが同じ音で聴けることがね。 ーーああ、空気感を重視しない方向っていうのはそういうふうなきっかけもあったっていうことなんですかね。 ミト:そういうことですね。 ーーミトさんがほとんど一人でトラックを作って、ドラムは大助さんの音をサンプリングして、歌は郁子さんが歌ってとっていうことだと、ミトさんが一人で作ってるアニソンやとかアイドルポップスとかのトラック作りとそんなに変わらなくなってくるってことですか。 ミト:うーん、むしろ逆で、今アニソンや劇伴の方がスタジオを使っていたりする。劇伴は大変なんですよ。やっぱりちゃんと生で録らなきゃならないので。生のストリングスって必ずと言っていいほど入ってる。そのストリングスって実際にどれくらいの編成になるかっていうと、少なければ少ないでできますけど、だいたい基本6-4-2-2-1っていって、ファーストバイオリン6人、セカンド4人、ビオラ2人、チェロ2人、あとコントラバスが1人。で、15人じゃないですか。それで今このタイミングで15人集めるって、色々問題があるじゃないですか。しかも、時には難しいスコアアレンジを誰かに任せたりしなきゃならないので、クラムボンの作業以上に人手に委ねなきゃならないことが多い。従来はそれを1日のスタジオで一気に賄えたんですけど、やっぱインペグ(スタジオ・ミュージシャン等を斡旋する仕事)の方々に、「今コロナで自粛的な問題もあるので、あんまり人数は増やせないです」って言われちゃいますよね。 ■仕事になるならとにかく手当たり次第に触ったらいい ーーなるほど。『エレメンツ』シリーズはまだ一曲しか出してないですが、今後もコンスタントに出していくということですね。 ミト:そうですね、ストックだけはいっぱいあるので。 ーーでも現実問題として、今だけでなく当分ライブができないと。しかも今までのようなライブの形も成り立つかどうかわからないって状況で、総合的にクラムボンの今後の方向性はどういうことになりそうですか? ミト:当面は『エレメント』的なものを出し続けたりすることで活動維持はできます。あとはクライアントさん周りでの仕事も引き続きあるので、そういった意味では活動維持はできると思うんですけど、やっぱり事務所の経営的な問題で言えばなかなか厳しいです。あとはYouTubeの重要性が今後確実に大きくなるんじゃないかなとは思いますね。と言って僕はチャンネルは持ってても、何もやってないんですけど。何を見せたらいいか考えたりしてます。 ーークラムボンはとりあえず全MVがYouTubeで解禁になったから、それを見るのにみんな忙しいんじゃないですか。 ミト:そうそう、だから僕はその辺りはクラムボンはある程度大丈夫だと思っています。なので僕がクラムボンとは別に個人でやるんだったら何がいいかなと。自分の作曲したものを自分で解釈したり、セッションデータを他のアーティストさんに迷惑がかからない程度に、可能な限り見せてあげたりとか。たとえば作家が人にあげた曲をカバーしたりってあんまりないいじゃないですか。だからそういうチャンネルをやってみるのはありかなぁと思って。実は今、システムをちょこちょこ組んではいるんです。もう自分の曲だけで何百曲以上あるので。 ーー何百曲! クラムボンで作ってる曲があり、かつ外部仕事で依頼されて作る曲があって、それ以外の自分の内面から出てくる、自分が作りたいと思って作る曲っていうのは、ストックの中でそれくらいあるんですか? ミト:いっぱいありますよ。その辺りは本当に作ってる暇もないので、以前のインタビューのときも言いましたけど、ボイスメモに録っておいて。前の取材のときに言っていたスタンスはちゃんと引き継いではいるんですけど、もちろんそうじゃない部分もどんどん増えていて。だから、カードが増えているだけなんですよね。全然自分の作曲スタイルに順番を決めたりしていないので。自分が作りたいなぁと思ってること、もっと言ったらクラムボンでこれ作りたいと思ったこととかはボイスメモにメロを入れたりする。あとはリフとか、やったことないことをちょっとやってみたいなって思ったら『エレメント』でやってみたらいいし。『エレメント』は合間に作り続けてるので。 ーーじゃあ『エレメント』は、“ミトのソロ”的な意味合いも強いってことですか? ミト:えっと、テクスチャー的に『エレメント』みたいなことをやろうってなったら、じゃあイニシアチブを取ったら? っていうふうに郁子さんには言われたので。そうですね、そういった意味ではサウンドプロデューサーは完全に僕です。 ーー3年前の2017年の取材では、いわゆるオールドスクールなシンガーソングライター的な作り方をするようになってきたと。ことヒットシングルというか歌モノに関しては、それに勝る作り方はないんじゃないかっていう見方を当時のミトさんはされてましたけど、そのあたりは変わらない認識ですか? ミト:変わらないですね。「夜見人知らず」のサビのメロディが出てきたときにはもう、これを最初に出そうって直感的に思った。だから、この曲もポンと鼻歌で出て、でもテクスチャは打ち込みがいいのかなって思ったりして。 ーー要するにスパッと全部切り替わるんじゃなくて、色んなやり方をその都度自分で編み出していって、それを並行して進めてるっていうのがミトさんの作り方ってことですね。 ミト:今のスタイルはそうですね。やっぱりありがたいことに過去20年以上自分のスタイルとして、色々なことをやって来ているから、あんまり手本は気にしなくなってきている感がありますね。もちろん「苦手」って思うものはありますけども、着実に少なくはなってきました。 ーー苦手なモノってあるの? ミト:ドラムは、生で叩けって言われたらすごい嫌です。 ーーいやいや、それはできるできないっていうのはあるだろうけど(笑)なんかもうミトさんって音楽に関することだったらなんでも知ってるしなんでもできるっていう、そんなことはないのかもしれないけれど、そういう印象だったりしますよね。 ミト:そうでありたいとは思いますし、聴いたりするのも好きだからこそ、そのディテールは全部把握したいと思ったりする、その自分の願望が音楽への衝動なので。 ーーだから、アーティストによっては、これは自分には必要のないモノだから知らなくていいって考える人もいるけど、ミトさんはそういう割り切りはしないでしょ。 ミト:ないですね。 ーー必要じゃなくても知りたいと思うでしょ。 ミト:そうそう(笑)。僕はもう、絶対必要ないでしょっていうものをむしろ好んで取り入れたりとかしますね。 ーーそうすることで、だんだんやれることが歳ごとに増えていって、自分の引き出しもどんどん増えていく。そうなると、歳をとればとるほどいい音楽ができるっていう。 ミト:それは証明したいですよね。あと音楽での自分のスタイルを決めつけないで、ちゃんと仕事としてお金になるものだったら、とにかく手当たり次第に触ったらいいと思いますけどね、みんなが。 ーー自分のスタイルを守ることが第一っていう人もきっといるだろうけど。 ミト:若い時は僕もそうでしたからね。でも若い子の世代の今と、私の若い頃は全然違いますし、価値観も違うし音楽を始める時点でアティチュードとか出し方とか見せ方も違うでしょうし。 ーーあと情報を遮断するのがほとんど不可能な状態ですからね。昔だったら色んなことを見ない聞かないっていう状態でものを作れたかもしれないけど、今は不可能でしょ。 ミト:まあ不可能でしょうね。だって、例えばバンドマンの会話上に若者のスラング的なものが出たとして、そのスラングがアニメ発信であることも少なくない。でも、アニメと関係ないバンドマンたちはその元ネタを全然知らなかったりする。知らず知らずのうちにその影響を受けている。だから、そんなに自身のアイデンティティに固執しなくてもいいのかなっていう気はしますけど。 ■僕は舐められるつもりも、馬鹿にされる気もまったくない ーー若い人は色んなジャンルやカテゴリーを自由に動いて自分の表現みたいなものを作っていく。どんどん意識も更新されていくし、新しくなっていく。5年前にやったミトさんのインタビューは、そういう風にどんどん更新されていくーーあの時はボカロが革新的なものだったっていう話だったけどーーポップシーンの最前線みたいなものと、クラムボンが伍して戦っていくためにはそれなりの武器が必要なんだっていう話だったと思うんです。だからあの時のミトさんのインタビューを今読み返してもピリピリしててすごいんだけど。 ミト:久々に僕も読み返してみて。あの時そんなに苛立ってたのかなあって。ちょっともう自分でも思い出せない。 ーーでも苛立ってましたよ。「お前そんなこともわかんないのか!」って感じ。すいませんって謝りたくなるような感じだった(笑)。 ミト:多分当時は過渡期で、自分は武器やカードを増やしていかないとダメなんだって思っていて、それをみんなにも言っていて。自分も瀬戸際だなと思ってたんでしょうね。 ーーとにかく戦わなきゃっていう意識がすごく強かった時期だったと思うんですが、今もまだそういう意識はあるんですか? ミト:うーん……あの頃に比べたらないですね。それはもう断言できます。理由は、一山越えたというか、やっぱり武道館が終わって『モメント』を出し始めてそれなりの成果があり、自分たちの手法もある程度は落ち着いた。潤ったという方がいいでしょうね。それを経たことによる安心感は絶対にあると思います。あれから5年経っても同じことにフラストレーションが溜まったりすることはあるんですけど、クリアしてるっていう実証があることが大きい。やっぱり5年経った今でも私たちの活動って独特だし。自分たちで言うのもあれだけど、僕らみたいな人たちって本当にいないので。で、そこを超えてくる人たちもいない分、周りの見晴らしがいい。新しい世代のバンドには彼らの流れがあるかもしれないですけど、僕らはもう、もはやその人たちがどれだけ頑張ってもできないことをやっちゃってるんで。今のところ敵がいないです。敵だと思う人間がいないです。 ーー5年前の段階ではそこまで自信が持ちきれなかった。 ミト:うん。それであの記事で言っていた方向にやっていかなきゃならないんだっていうことをやり続けて、結果それが正しかったっていうのがわかったので。 ーーあそこでミトさんが語っていたのは、バンドが今や時代遅れの形態であって、今のポップシーンの最前線にはまったく通用しないものになってると。その認識は今でもそんなに変わらないですか? ミト:変わらないですね。例えばOfficial髭男dismの音だってそうですし、The 1975とかももうみんなそういう形になってる。今バンドで売れてる方々はみんな打ち込みというか、実演不可能なことも当然のようにやっている。そういう人たちなんですよ。それに近いことを僕は言いたかったんだけれども、実質そうでしたよねっていうことだし。例えば、米津氏(米津玄師)だったりじん氏(自然の敵P)だったりとか。米津氏って多分その頃はそんな売れてなくて、『紅白歌合戦』に出るなんて思われてなかったと思うんですけど。そうなっちゃったし。言ってみれば本当にキリないなと思うんですよね。 ーーなるほど。 ミト:あと、どんどん音楽と社会、音楽と経済が昔以上に密接になってきていると思うんですよ。ミュージシャン側が経済や社会のことを考えなきゃならないし。プロモーション的なこともやらなきゃならないし。自分のブランドも売らなきゃなんない。それはYouTuberの人がやってることと同じじゃないですか。そういうことも考えつつ音楽をやってるような時代なので。 ーーそうですね。 ミト:例えばライブハウスに対する支援金のためにグループを作って署名をしましたとか言うと大体外野から、「お前たちはこれまで楽して旨い飯食ってきたじゃん」っていうツッコミしか来ないんですよ。 ーー「好きでやってたんだから今更文句言うな」ってやつですね。 ミト:はたして僕がそれを言っていいのかはちょっとわかんないんですけど、やっぱり舐められてると思うんですよね。僕は舐められるつもりも、そんなことを言っている人間に馬鹿にされる気もまったくないので、そういうものに対して馬鹿野郎って言う音楽は作りたいですけどね。ふざけんな、と。 ーーうん、いいですね。 ミト:僕は政治的な発言をほとんどしないんですけど、じゃあ僕がどうやって生きているかっていうと、さっき言ったプロモーションだったり、社会的なことだったり。仕事に対して音楽とどう向き合っていくかみたいなことはずっと再三言ってるわけじゃないですか。『モメント』を始めた時からずっとお金の話もしてるし。で、そういうのって自分たちの音楽を良くするために、結果的には自分の作品のためにやってるわけで。政治と向き合うというよりは、政治といつも相対していかなければならないんですよ。そこは自分たちの音楽を作るために、自分の生活を守るために今の世界と戦わなきゃならないし、向き合わなきゃならない。 ーー誰もが自分の立場でしかものを言えないじゃないですか。音楽家は音楽家なりに、音楽ライターは音楽ライターなりにそれぞれの立場でものを言えばいいし、主張をすればいいと思う。 ミト:そうそう。すごく優秀なミュージシャンだったら、ちゃんと話もできるし、理解もできるのであれば、政治家を目指してもらっても全然問題ないって思っているので。
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June 06, 2020 at 11:58AM
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