17歳の素晴らしき才能・崎山蒼志 彼の音楽になぜ魅了されるのか - WWD JAPAN.com

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 2018年、インターネット番組「日村がゆく」(AbemaTV)での企画「高校生フォークソングGP」で第3回グランプリを獲得したシンガー・ソングライターの崎山蒼志(さきやま・そうし)。その動画がSNSで拡散され、くるりの岸田繁やゲスの極み乙女。の川谷絵音など、多くのミュージシャンから高い評価を得る。18年12月にファーストアルバム「いつかみた国」をリリース。19年10月にはセカンドアルバム「並む踊り(なむおどり)」を発売し、君島大空や諭吉佳作/ men、長谷川白紙とコラボを行った。今年5月には、地元浜北文化センターでのワンマンライブ「とおとうみの国」と、東京・大阪での「とおとうみの国から」を行う。現在浜松市在中の17歳。等身大の彼に迫る。

WWD:崎山さんのことは「日村がゆく」の動画が話題になったときに知って、正直、当時中学3年生で、あんなクオリティーが高い音楽を作れるのにびっくりした。

崎山蒼志(以下、崎山):番組のスタッフの方がユーチューブで中高生のシンガー・ソングライターを探していたみたいで、それで僕の動画を見てくれて、ツイッターのDMで連絡がきました。最初はだまされているんじゃないかって思いました(笑)。

WWD:出演後、反響も大きかったのでは?

崎山:当時、ツイッターのフォロワー数が300くらいだったのが1000くらいになって、すごく驚きました。同級生からも声をかけられるようになりました。ネットであの動画がすごくバズって、いろいろなミュージシャンの方が褒めてくれていて、「本当にこんなことあるんだ」って信じられない気持ちでした。それでも実生活は何も変わらなく、不思議な感覚でした。

WWD:あらためて音楽を始めたきっかけは?

崎山:もともと母親がBUCK-TICKなどのビジュアル系バンドが好きで、4歳のときにたまたま見ていたテレビでthe GazettE(ガゼット)が出ていて、それを見てギターをやりたいと思ったのがきっかけです。ちょうどおばあちゃんの家の近くのギター教室で生徒を募集していたので、習い始めました。最初はクラシックからだったんですが、7歳くらいからエレキギターに替えました。全然うまくならなくて、でも先生とは友だちみたいな関係だったので、その人に会いたくて通っていたら上達していきました。結局そのギター教室は中学1~2年くらいまで通っていました。

WWD:両親が音楽系の仕事をしていたとか?

崎山:違いますが、両親は2人とも音楽好きです。父親は昔バンドを組んでいて、ギターを少し弾けたみたいですが、父からギターを習ったことはないです。でも父がそのとき使っていた30年以上前のアンプやエフェクターは修理して、今でも使わせてもらっています。

WWD:両親も応援してくれている?

崎山:応援してくれています。小学生のころから僕が適当にギターを弾きながら歌っていたら、それを母親がすごく褒めてくれたんです。それですごく肯定感を感じられて、そういう経験があったから今でも音楽を続けられているんだと思います。ライブも観に来てくれています。

WWD:本格的に音楽活動を始めたのはいつごろから?

崎山:小学校6年生のときに同じギター教室に通っていた子とバンドを組んでからです。中学1年生(2015年)のときに10代限定の参加型オーディション「未確認フェスティバル」に出場して3次審査までいったんです。それで本格的に音楽でやっていきたいなと思うようになりました。

WWD:そのときのバンドが「KIDS A」。やはりレディオヘッド(Radiohead)のアルバム「KID A」を意識した?

崎山:恥ずかしながら、その当時はレディオヘッドのことは知らなくて、「子どもAグループ」みたいな意味でつけたんです。それで「未確認フェスティバル」に出たときに業界の人からレディオヘッドのことを教えていただいて、そこで初めて知りました。

WWD:今は弾き語りを中心に活動しているが?

崎山:バンドメンバーの部活がいそがしくなってスケジュールが合わなくなり、僕が1人でライブに出るようになりました。今は「KIDS A」は活動休止中なんですが、またバンドもやりたいなという思いはあります。

WWD:もともとビジュアル系が好きで音楽を始めた崎山さん。今の音楽の感じはだいぶ違っている印象だが?

崎山:小学4年生のときにSEKAI NO OWARIをテレビで見て、めちゃいいなと思って。そこからクリープハイプやきのこ帝国とか聴くようになりました。そこからさらにその人たちが好きだった音楽をたどっていって、NUMBER GIRLやゆらゆら帝国を知りました。その中でも影響を受けたのは、クリープハイプの尾崎世界観さん、NUMBER GIRL、凛として時雨など。それが今の僕の音楽につながっているのかなと思います。

「並む踊り」では話題の3人のアーティストとコラボ

WWD:セカンドアルバム「並む踊り」では君島大空さん、諭吉佳作/men(以下、諭吉)さん、長谷川白紙さんといった同時代のミュージシャンとコラボした。特に諭吉さんは同じ静岡在中の高校生ということにも驚いた。もともとこの3人とは親交はあった?

崎山:ありました。諭吉さんは2018年に静岡のK-mixというラジオ局が毎年やっているオーディションで初めて見て、すごい衝撃を受けました。諭吉さんとはそのときから知りあいで、他のお二人は最初にツイッターで知り合って、ライブを観に行かせていただいたり、同じイベントに出演することもありました。作品を一緒に作るなら今のタイミングだと思って、お願いしました。みなさんにはいそがしいのに申し訳ないって気持ちはありましたが、やれてよかったです。本当に感謝しかないです。

WWD:コラボした曲はどんな感じで作った?

崎山:君島さんとコラボした「潜水」は、もともとあった曲を君島さんが気に入ってくれて、それをアレンジしてもらいました。「むげん・」は、諭吉さんとLINEなどで連絡をしながらフレーズを送り合って、諭吉さんが作ったフレーズに僕が歌詞を書くとか、ごちゃまぜで作っていきました。諭吉さんとはスタジオにも入ったんですけど、お互い直面するとあまり進まなくて、LINEし合いながら歌詞を作ったりもしました(笑)。長谷川さんには最初はアレンジしてもらおうと思っていたんですが、「せっかくだから一緒に作ろう」と言っていただき、僕が好きなものを長谷川さんに送って、それで曲を作ってもらい、僕が歌詞をつけるといった流れでした。

WWD:普段はどんな感じで曲を作っている?

崎山:サビの部分はメロディーと一緒に歌詞が浮かぶことがあって、そこに合わせて歌詞を書いていくことが多いです。それにメロディーをつけて、修正してという感じで、完成度を高めています。でも最近はこれでいいのかなって考えてしまいますね。昔は即興で出てきたフレーズをまとめて曲にしていたんですが。

WWD:以前、「日村がゆく」に出演したときに持ち曲が300曲ほどあると言っていたが、今はどれくらい?

崎山:今は400曲くらいです。でもノートに書いてあるだけの曲もあって、実際に演奏できるのは300曲くらいだと思います。

WWD:音楽を通して伝えたいことはある?

崎山:聴いてくれた人の励みになればうれしいです。

WWD:5月は9日に地元浜松、30日に大阪、31日に東京とワンマンライブを行う。意気込みは?

崎山:ライブは緊張感がある方がいいとは思っているんですが、地元だからリラックスしてしまう部分もあって、そこは引き締めてやっていきたいです。大阪は味園ユニバース、東京は新世紀と独特な場所なので楽しみ。何か普段できないこともやってみたいなとは思っています。

音楽以外にも演技や執筆など新たなことに挑戦

WWD:今年はドラマ「スイーツ食って何が悪い!」(TOKYO MX) の主演も務めた。初めての演技はどうだった?

崎山:正直、これまでドラマに出ようとは考えたこともなかったんですが、なかなかないチャンスだし、セリフが少ない役ということだったので挑戦しました。演技は楽しかったんですが、次もできるかっていうと分からないです(笑)。セリフが少なくてちょっと出る役とかだとやってみたいです。

WWD:音楽以外で影響を受けたものはある?

崎山:「五月雨」という曲を作ったが中学1年生のときだったんですが、そのときはアニメの「新世紀エヴァンゲリオン」にはまっていました。あとは、大友克洋さんの「アキラ」はすごく好きです。

WWD:4月から高校3年生になるが、高校卒業後は東京にこと来ることも考えている?

崎山:そうですね。今のところは東京に行く予定です。

WWD:今、会いたい人は?

崎山:僕は芸人さんが好きで、ハリウッドザコシショウさんや永野さん、狩野英孝さんに会ってみたいです。あとスピードワゴンの小沢(一敬)さんのユーチューブもよく見ています。

WWD:今後の目標は?

崎山:いつもアルバムを作るときには時間が足りないなと思っているので、少し時間をかけて緻密に完成度の高い曲を作っていきたいです。あとバンドもやってみたいです。音楽以外だと最近エッセーを書いたんですが、それが楽しくて、これからも機会があればやっていきたいです。

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