聞き手が無意識に目で追ってしまう 手書きプレゼンのすすめ - 日経クロストレンド
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今回は、プレゼンテーションに手書きを持ち込もうという提案だ。僕はプレゼンの記事や書籍の中で、10年近く前から手書きを奨励してきた。PowerPoint(パワーポイント)にもずいぶん前から手書き機能が搭載されている。ここへきて少しずつ使われるようになってきた。
今回のポイント
- 活字より手書き文字のほうが注目されやすい
- 不慣れなうちはマーカーを引くだけでもOK
- ペン操作非対応のパソコンではタブレットを活用
手で書くことで注目度が一気に向上
小中学生のころを思い出してほしい。授業では先生が黒板にチョークで文字や図を書いていた。今でも多くの学校が同じように授業を進めているはずだ。
ところがわれわれは、すでに文字入力が済んでいるスライドを提示してプレゼンを進めている。もちろん、それがプレゼンなのだ……というご意見はもっともだ。
とはいえ、実は手書きのほうが注目度は高くなることをご存じだろうか。人を含む動物は、動くものに目を奪われる習性がある。だから、手が出てきて文字を書いていく様子を思わず見てしまうのだ。
手書きなら解説しながら自由に書いていける。人気のユーチューバーたちの動画を見ても、話しながらホワイトボードに手書きしていることが多い。きれいにまとめたプレゼンのスライドのほうが注目されるなら誰もがそうするはずだ。しかし視聴者は、たとえ達筆でなくとも手書きのほうを見てしまう。ユーチューバーたちは、それを体感的に知っているのだろう。
ディスカウントストアのドン・キホーテでは、各店に手書きのPOPを作るライターが配属されているという。これだけパソコンやプリンターが普及しているのに、いまだに手書きのPOPを重要視しているのは、手で書くことで注目度が一気に向上するからだ。
マーカーを引くだけでも効果あり
プレゼンで手書きをするのは簡単で、スライドの途中に白紙のページを入れておけばいい。そこに、PowerPointの機能で手書きするだけだ。ただ、そのときにはペン操作に対応したパソコンを使うことが前提となる。最近は、ノートパソコンとしてもタブレットとしても使える2in1パソコンが増えてきた。自分で使用しているパソコンがペン操作に対応しているなら、ぜひ試してほしい。
プレゼンの最中に手書きする自信がなくても、とりあえずやってみると効果的なことがよく分かるはずだ。字が汚くてもまったく気にする必要はない。画数の多い漢字はひらがなにしてもいいのだ。例えば「会議」を「会ぎ」と書いても、見ている側は気にしないものだ。
それでも不安な人は、まずは出来上がったスライドに少しだけ手書きを加える方法を試してみてはいかがだろうか。例えばPowerPointの描画機能には、ラインマーカーが搭載されている。スライドショーを表示しているときに、画面を右クリックして「ポインターオプション」で「ペン」や「蛍光ペン」選ぶ。スライドの文字にアンダーラインを付けていくだけでも、ずいぶん注目度が高まるはずだ。
慣れてきたら、ちょっとした図を描いてみるといい。PowerPointの作図機能で流れ図や模式図などを作ることはできる。とはいえ、見栄えの良いチャートを作ろうと思ったら、それなりに手間と時間がかかる。手書きすれば時間を節約できるし、意外に味のある図に仕上がって「悪くないな」と思う人は多いはずだ。
パソコンが非対応ならiPadで手書きする
スライドに手書きを入れる際には、2in1パソコンで、かつペン操作に対応したモデルを所有しているのが条件になる。ここで、多くの人がハードルの高さを感じるだろう。
だが、iPadを持っているならプレゼンに手書きを取り入れることが可能だ。iPadと専用のApple Pencilの組み合わせは書き味が最高だ。大抵のペン操作対応パソコンよりも使いやすいと感じている。
オンラインストレージのOneDriveを使えば、パソコンで作成したPowerPointのファイルを開ける。iPad用のアプリは「Microsoft Office」をダウンロードして使う。iPad上でスライドを編集することもできる。基本編集作業はパソコンで済ませ、iPadを使って手書きの図を加えるといった作業分担もできるだろう。
最近はプロジェクターの投影ではなく、テレビとパソコンを接続してプレゼンするケースが増えている。そんなケースでは、従来使えていたレーザーポインターが使い物にならないのだ。光がテレビ画面に反射してよく見えなくなってしまうのだ。
しかし、ペンならスライド上の位置を指し示すことが可能だ。PowerPointの画面上で疑似的にレーザーポインターの光を表示する機能もあるが、ノートパソコンのタッチパッドでは使いづらいことこの上ない。プレゼンの機会が多いにもかかわらず、ペン操作非対応のパソコンを使っている人は、次の買い替えでは必ずペンが使えるモデルを選択すべきだ。
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