ピストン西沢と河口まなぶがニューノーマルなぶっ飛びクルマ愛を語り尽くす! カオスないまが実は面白い - レスポンス

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出口が見えない長ーいトンネルを走ってるような2020年コロナショック。ソーシャルディスタンスやテレワークといった新たな行動様式が定着しつつあるニューノーマル時代、クルマとのつき合い方、楽しみ方、過ごし方はどう変わったか、そしてどう変わっていくのか---。

いまそんな思いにズバッと答えてくれるのが、この2人。ピストン西沢氏と河口まなぶ氏。コロナショックで迎える初めての夏、2人は穏やかな茨城県鹿島灘の海辺に建つ白亜のスタジオで、コロナショック後における“withクルマ”の変化、クルマとの新しい過ごし方、そしてセレブも驚くぶっ飛び話まで、ソーシャルディスタンスを守りながらいろいろ語ってくれた。

コロナショックからのトーク入りということで、どんな深刻な話が出てくるかと思いきや、この2人は登場からクルマ好きオーラ全開。まずスタッフ陣が目を丸くしたのはピストン西沢氏(以下敬称略)がスタジオに乗ってきた愛車で、スーパーカーでも高級車でもなく、軽自動車! 日産『ルークス』ハイウェイスターGターボだったこと。

ラジオDJのピストン西沢さん。ピストンさんらしい軽快なトークでもりあげる!ラジオDJのピストン西沢さん。ピストンさんらしい軽快なトークでもりあげる!

「広報車じゃないよ。つい最近、新車で買ったんだよ。自宅から鹿島までこれで普通に来たよ」とピストン西沢が言うその理由については後述することとして、今度は河口まなぶ氏(以下敬称略)が登場。

モータージャーナリストの河口学さん。自動車のプロ視点からわかりやすく解説モータージャーナリストの河口まなぶさん。自動車のプロ視点からわかりやすく解説

保有車40台以上を乗り継いできた河口まなぶは、「いま一番乗る機会が増えた」というメルセデス・ベンツ『GLE』400dSportsで登場した。

「自分のクルマが欲しい」というニーズが増えてきた

今回はソーシャルディスタンスにも配慮して、換気もバッチリの環境で対談を行った今回はソーシャルディスタンスにも配慮して、換気もバッチリの環境で対談を行った

河口まなぶ:このコロナショックで、家族団らんの象徴的なイメージだった大皿料理をみんなでシェアするといったシーンが薄れたのと同じで、カーシェアも拡大しつつあったなかで流れが止まり気味で、自家用車の価値が見直されてきていますよね。「自分のクルマが欲しい」というニーズが増えてきているように感じる。

ピストン西沢:……。

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河口まなぶ:移動が制限されて今までより行動範囲が狭まったんですけど、コロナ前よりもクルマに乗る頻度が増えている。人と接する機会が増えてしまう電車やバス、タクシーなどで行っていた所も公共交通よりも人混みを避けられるクルマで行くようになりましたから。その度に新しいクルマの使い方を発見しますね。

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ピストン西沢:なんだよ、最初っから一番いいとこだけ言っちゃって。なんか俺にはもう食べ散らかしたものしか残ってないじゃん! でもやっぱり、今は海外旅行に行けないじゃない。お金も入ってこないけど、明るい気分でいたいって思ったときに、「クルマでも買ってみようか」という人もいるのよ。テレワークで通勤がなくなったとか、電車やバスを避けるといったきっかけでね。

「必要」「欲しい」というベクトルが違う方向に向きはじめた

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ピストン西沢:あとひとつ面白い現象が出てきてね。別送も兼ねるような高級住宅街エリアの不動産価格が上がっているのよ。自分の時間が増えて、快適にリモートワークしたいという人たちがこうしたエリアに注目してる。それと同じで、クルマもレクサスやメルセデスといったブランドがまた注目されていて、クルマを複数台所有したり、実用品としてのクルマじゃなくて、嗜好品としてのクルマに群がってるっていう、意外な現象がある。一方で道具として割り切ったクルマ。俺も最近、好きになってきた軽自動車を乗ってきたけど、便利だしお金もあまりかからないクルマっていうのもニーズが高まってる。そんなマーケットをみていると、コロナ前と後では、いままでと違ったクルマへの温度の高まりを感じるよね。「必要」とか「欲しい」というベクトルが、いままでとは違う方向に向き始めたのは間違いない。

想像以上の値落ち…笑ってすませるか

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河口まなぶ:ランボルギーニ、ポルシェ、フェラーリとかは国内の売上は好調ですしね。

ピストン西沢:マクラーレンは下がってるけどね。俺のなんか買った値段を考えたら驚くぐらい下がっているだもん。気がついたら売るタイミングを逸してた。マクラーレンってフェラーリとかの値落ちとぜんぜん違う下がり方するよね。

河口まなぶ:そうねえ。あれ不思議ですよね。

ピストン西沢:嗜好品って欲しい人の割合で値が決まるところがあるから、たとえば人気ブランドの時計は値が上がるけど、名前は知っていても人気がない時計は下がっちゃう。ムーブメントをみると後者のほうが優れてるんだけど。そういうモンなんだよね。だからクルマもリセールバリューで選ぶか、自分の満足度を最優先して選ぶか、という選び方は昔からあるでしょ。

河口まなぶ:ピストンさんはリセールがいいフェラーリよりも自分にとって満足度の高いマクラーレンを選んだと。

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ピストン西沢:同じ価格でフェラーリやポルシェを買えたけど、俺はマクラーレンが乗りたかった。でも想像以上に現実の値落ちがすごくて「えっ!? そんなに違うの?」って。でもそこを笑ってすませられるかどうかだよね。

河口まなぶ:それを笑って済ませる余裕があるから、ピストンさんは(笑)。もう一方の実用性でクルマを選ぶ人たちのなかでは、クルマのなかでテレワークする人たちに車内デスクやタブレットホルダーが売れてる。クルマのなかで過ごす時間が増えてるからでしょうね。

ピストン西沢:まあ自宅に子どもがいて、家事も手伝いながら仕事するってなったら、クルマに逃げ込みたくなる気持ちも分かるわな。そういう人はクルマを道具として使ってるだろうしね。いやわかんないよ、ホンダ『S2000』の走り屋仕様の車内でテレワークしてる人もいるかもしれない。

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河口まなぶ:僕は今まで40台以上のクルマを所有してきました。その中では仕事面と実用面、趣味面と選び方が変わってくる。自動車業界に関わる仕事をしているので、販売台数が多くて最先端の機能を搭載しているメルセデス・ベンツ Cクラスはモデルチェンジのたびに買い換えて“今”を体験するために購入しています。趣味で購入するクルマはなぜか複数回乗り継ぐ事が多いですね。マツダ・ロードスターは1.6L→1.8L→1.6Lと3回購入しましたし、他にも複数回購入したクルマもあって、それってやっぱりそのクルマが好きだからなのかな? と思います。実用面だと今日乗ってきたメルセデス・ベンツ『GLE』400dSportsのようなどんな状況でも対応出来るオールマイティーなクルマを選びがちですね。ライフスタイルに合わせたクルマ選びをしているときは凄く楽しい時間です。

自分のクルマってなんなんだ? 自分のクルマに足りないものは?

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河口まなぶ:コロナショックで実務的に困ったのが、広報車が3か月間ぐらい貸し出しが止まりましたからね。そうなると記事を書くことにも支障が出ました。

ピストン西沢:あー自動車ジャーナリストの人たちは特にそうだろうね。でもそのときに、自分のクルマとあらためて向き合えたというかね。「自分のクルマってなんなんだ」「自分のクルマに足りないものってなんだ」とかって見つめ直すいい機会だった。おれ自身、こうやってコロナ禍のなかで考えて、軽自動車の良さに出会えたんだから。

河口まなぶ:なるほど(笑)。

ピストン西沢:だって遠くに行けないし。俺いまクルマ8台持ってて、自転車も乗るんだけど、このコロナ禍でその保有車を見直したら、自転車を積めるクルマが1台もない事に気付いてさ。気軽にいろいろなモノを積んで出かけられるクルマもなかったってことで、この日産ルークスを買ったわけ。

河口まなぶ:道具としてのクルマが必要になったってわけですね。

ピストン西沢:自分が持ってるクルマのなかで、人生初のスライドドアだもん。いままでは傍から見てて「あースライドドアいいね」で終わってたけど、スライドドアが必要になって手に入れてみると、これがほんとに便利でいいんだよね。そこに気づかせてくれたのが、今回のコロナだったと。

デジタル時代、カーライフっていう言葉はネット文化にはない

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河口まなぶ:自分でやっているYouTubeでクルマの細かい部分まで解説してると、ユーザがどんどん増えているのを実感しますね。毎週金曜日配信のライブも、回を重ねるごとに視聴数が増えています。リアルなクルマの楽しみ方がもちろんいいですけど、気軽に旅行に行けなかったり、外に出られなくなったぶん、オンラインでクルマを体感するというトレンドがきてますよね。

ピストン西沢:じゃあ、新車が売れてるかっていうと、そうでもない。だから例えば、フェラーリを30台保有してるレンタカー業者が、「あなたのオーダー通りにドライブします」って売り出して、オンラインで接続してドライブを疑似体験させるとかね。そこで体験料金をとるとか新たなビジネスが生まれるかもしれない。

河口まなぶ:リアルにクルマを走らせる時間は減っても、オンラインの時間が増えたってことで、クルマを疑似体験したい人が増えていますね。自分の目線と同じように細かくクルマの各パーツを見ていくといった解説動画の視聴数が伸びてますし。

ピストン西沢:レスポンスが今回、「コロナショック後のカーライフ」って聞いてきたけど、カーライフを「自分の保有してるクルマとの暮らし」って仮定すると、河口まなぶのYouTube登録ユーザって「クルマ持ってない人」もいるわけ。

河口まなぶ:そうそうそう。

いくらデジタルが進化しても、リアルなサービスステーションは…

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ピストン西沢:だからカーライフっていう言葉は、ネット文化には無いわけ。実際にクルマに乗りたいっていう人が減り続けてるなかで、プレステの「グランツーリスモ」とかYouTubeコンテンツとかで、クルマを操ってる感で楽しむ人たちが増えてきた。今ではトップクラスのレーサーがeSportsに参戦している時代だから。

河口まなぶ:そこは実感しますよね。

ピストン西沢:だからまだ、クルマをネットで買うってところまでテクノロジーが進化してないから途中段階だけど、たとえばVRでドライブを疑似体験して有料道路を走ったら課金するとか、途中の土産物屋で土産をVRで購入して、後日に実際に土産が届くとかね。そういうデジタルとリアルの融合はやってくるかもね。海辺をドライブしてたら、AIが海辺に似合う音楽を車内に流したりとかは始まっている訳だし。

河口まなぶ:ネットとクルマがつながる時代はもうきてますからね。

ピストン西沢:その一方で、デジタルが進化したところでリアルが勝る現場もあるわけよ。たとえばサービスステーション! サービスステーション(SS)って、自分のクルマを診てくれるメカニックがいる、自分だけのピットだった。いまよくあるセルフじゃなくてフルサービスのね。

クルマ文化のワンシーンをつくったサービスステーション

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河口まなぶ:ちゃんとそのクルマに指定された燃料を入れてくれますしね。ハイオク指定ならハイオク、レギュラーならレギュラー。ディーゼルなら軽油と。ちゃんと指定された燃料を確認して入れてくれますし。

ピストン西沢:あとタイヤを履き替えたりローテーションしたり、オイルを交換したり。クルマの調子をいっしょに診てくれるメカニックがいたわけ。おれの自宅の近くのSSスタッフ、アライくんを頼りにしてた。高校生バイト時代からの叩き上げで入社したメカニックでね、なんでも診てくれた。近所の金持ちおじさんが高級車を預けて給油・洗車・メンテをお願いして、本人は作業が終わるまで買い物やらパチンコ打ちに行くとか、日曜日にそういう光景がいつもあったわけじゃない。そういう光景がコロナ前のクルマ文化のワンシーンだった。あのマンガ『頭文字D』だってそうでしょ。

走り系仲間のオアシス、ベテランメカニックがいるSS

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河口まなぶ:僕もいま、コロナ後に最もよく行く場所が、サービスステーション(SS)なんですよ。広報車の給油や洗車でね。ぼく25年前からずっと行ってるSSは、新橋のモーターマガジン社の近くにあるSS。高級車の洗車をずっと積み重ねてるから、信頼できるんですよね。しかも、25年前からスタッフさんがずっといっしょで、もうベテランもベテラン。

ピストン西沢:サービスステーションで新規オープンがあまりないから、そういうベテランのメカニックやスタッフが老舗店にまだいるんだよね。

河口まなぶ:25年前からいるスタッフさんが、最新のクルマを慣れた手付きで運転しながら洗車してるんですよ。それを見てると、「間違いないな」って思いますよね。

ピストン西沢:あとね、馴染みのSSに行くとクルマ好きの友だちがだいたいいて、RX-7やロードスター、S2000とかが並んでるわけじゃん。で給油してロビーでクルマ雑誌読みながら友だちとクルマの話題でいろいろ盛り上がってさ、そういうシーンが日本のクルマ文化をつくってきたんだよ。

河口まなぶ:サービスステーション(SS)にあったそういうシーンが、いまネット上に移って、オンラインでクルマの話をしてるわけですよね。SNSでもクルマに関する色々なコミュニティが出来ていますし。今はセルフスタンドがメインになってきて、フルサービスの店が減っているのは残念だけど、セルフだからこそのメリットもあって、やっぱりガソリン価格が安いというのもあるし、今どきのユーザー達はサービスステーション(SS)独自のアプリとかスマートな支払い方法を選択している。これも時代の変化だなって思いますね。

スーパーカーで東急ストアに行く、がニューノーマル!

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ピストン西沢:いまはクルマにコンピュータがいろいろ入り込んできて、なにかあったときはコンピュータがエラーを出してくれるけど、サービスステーション(SS)に行ってメカニックにいろいろ聞いて診てもらうっていう人と人との触れ合いがあるのがSSのいいところだよ。頼りにしてるしね。

河口まなぶ:いまSSはだいぶ減りましたけど、ナビが案内してくれますからね。

ピストン西沢:いや、おれサービスステーションは自分で探す。自分を信じてる。ナビアプリとか市販ナビよりも絶対に早いから。

河口まなぶ+スタッフ全員:(笑)。

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ピストン西沢:あとおれね、まだ欲しいクルマがあって、トヨタのスーパーカー『GR Super Sport Concept』。あれは欲しい。あれ乗って祐天寺駅前ロータリーに停めて東急ストアで食材買って帰るっていうのやってみたい。スーパーカーが持つポテンシャルの1%のパワーで駅前の東急ストアに買い物に行く。これがニューノーマル!

河口まなぶ:今は本当に自動車業界、それに関わる業界、ユーザーも含めて過渡期であって、合わせてコロナの影響もあって確定的な未来が分からない状況ですよね。ただ、人それぞれのライフスタイルに合ったクルマとの付き合い方を考える機会でもある。やっぱりクルマは便利で楽しい物であって欲しい、そう思えるようにリアル・バーチャル関係無く各々がこれからのカーライフを創造していくんじゃないかな。僕らはそれをサポート出来るよう色々な活動をしていきます!

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September 11, 2020 at 10:00AM
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