流されぬ目 先人に学ぶ 安曇野出身・清沢洌の学習会再開へ - 信濃毎日新聞
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大正から戦中にかけて活躍した安曇野市出身の外交評論家清沢洌(きよし)について、中信地方の有志が6月、新型コロナウイルスの感染防止のため見合わせていた学習会を2カ月ぶりに再開する。5月に没後75年を迎えた清沢。国際協調を唱え、非合理的な政策や自由にものが言いにくい世相に批判的な目を向け続けたその姿勢に、有志らは現在の状況も重ねて学ぼうとしている。
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学習会の前身は、1992年、自由主義者として知られる清沢の思想に光を当てようと有志らがつくった顕彰会。昨年12月、活動の中心だった永沼孝致(こうち)さんが94歳で亡くなり、1月から元会社員の柵山輝之さん(77)=松本市=らが毎月の学習会を引き継いだが、新型コロナの感染拡大で4、5月は中止していた。
「清沢は世の中に流されず真実を見抜いていた。改めてその姿に学ばないといけない」。柵山さんは新型コロナに翻弄(ほんろう)されたこの間の個人、社会のありようを振り返る。
清沢の著作で有名なのが、1942(昭和17)年12月9日から敗戦3カ月前の45年5月5日までの身近な出来事、政治、経済、外交などを批評した「暗黒日記」。画一的で無駄が多いと当時の配給制度を批判したくだりや、国策協力を巡って住民が監視し合うような日常に触れた一文が、マスク配布を巡る迷走、自粛要請に従わない個人や店を過度に批判する動きに重なる。
「場当たり的な政府の対応も、国策に従うべきだと思ってしまう国民性も、戦前から続いているのかもしれない」と柵山さん。他人の自由を無思慮に束縛するような状況に市民自ら陥っていないかどうか。再開後の学習会では「政府のコロナ対策や今の社会について清沢ならどう発言するかも考えていきたい」と話している。
(6月1日)
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