声をつないで:孤高のフェミニズム運動・田嶋陽子氏 上野千鶴子氏と「主張を届ける芸」を語る - 毎日新聞 - 毎日新聞
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3月8日の国際女性デーに際し、女性差別や性暴力のない社会を目指して毎日新聞が展開してきたシリーズ「声をつないで」。今回は、1992年の著書「愛という名の支配」が昨年文庫化されるなど再評価が進む英文学・女性学研究者の田嶋陽子さんと、昨春の東京大入学式での祝辞が話題になった社会学者の上野千鶴子さんが対談に臨んだ。2人の再会は三十数年ぶりという。互いの来し方や、女性差別の現状についてそれぞれが熱く語った。前後編2回にわたってお届けする。【江畑佳明、牧野宏美/統合デジタル取材センター】
上野氏 お会いしたら、若い時に親切にしていただいたお礼を申し上げようと思って。
田嶋氏 私が?
上野氏 あなたの家に泊めてもらって、ご飯を食べさせてもらったの。私は記憶にあるわよ。
田嶋氏 いつごろ?
上野氏 30歳代でした。これまでお礼を言う機会がなかったから。
田嶋氏 ずいぶん昔のことを覚えているのね。
上野氏 私は恩を忘れない人だから(笑い)。それと、この30年間くらい、田嶋さんとの接点がなかったのは、田嶋さんは「あちらの世界」にいった人と思っていたから。
田嶋氏 「あちら」って?
上野氏 マスメディアの世界よ。私はちょうど、田嶋さんがテレビに出始めた頃、テレビから離れたから。
田嶋氏 あの頃(80~90年代)は、学者などのインテリがテレビのバラエティー番組に出ると学者仲間などから軽蔑されるような空気があったんだと思う。私はNHKの英会話番組をやっていて、そのあと急にバラエティー番組に出ることになった。そしたらもう、番組の中で男たちからあれこれ責められただけでなく、フェミニストからも「あんな番組に出て」などと批判された。でも当時、バラエティー番組じゃないと人の耳に届かないと思っていた。
上野氏 私は80年代、NHKの教育テレビにちょくちょく出ていたの。そんなとき「ニューアカデミズム」と呼ばれていた学者の先輩たちが「テレビ文化人」になっていった。それを見て、私はこうはならないでおこうと思った。プライバシーがなくなるのはイヤだったし。
田嶋氏 そうなんだ。私は他人とつるむことが嫌いな性格で、テレビに出るのは「たった一人のフェミニズム運動」って覚悟を決めたの。でも非難の声しか聞こえてこなくてつらくなった頃、先輩の駒尺喜美さん(故人。元法政大教授で女性学研究者)が「テレビは拡声器だから」って励ましてくれ…
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March 18, 2020 at 12:00PM
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