老舗繊維商社と創業5年目のD2Cがタッグ、ファッション業界に再び光を当てる - Forbes JAPAN
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世の中をポジティブに変えていく人は、既存のルールや慣習に対しての違和感を放置せずに「こう変えてよくしていこう」「もっと盛り上げていこう」と変革を推しすすめる人たち。そういった、「新しいあたりまえ」を作る人たちを応援するために、スタートした「スイッチスタンダードプロジェクト(Switch Standard Project)」。
今回は、共同創業者であり商品を統括する原康人代表取締役も交え、150年以上の歴史を誇る繊維商社を率いる瀧隆太・瀧定大阪代表取締役社長兼スタイレム代表取締役会長を迎えて、今、繊維・アパレル業界を取り巻く環境や、激変する生活者のマインドなどを踏まえたうえで、自らがどうチェンジしながら、新たな価値創造をしていくのかを語り合った。
ネットの普及で時代が変わり、ファッションの定義が変わった。
瀧:クラウドファンディングで共感してくれる「共犯者」を募って商品を受注・販売したり、全国47都道府県をキャラバンするなど、面白い活動をしているなと思って見てきました。木村さんたちはファッション業界や生活者の方々が今、どのようにチェンジしているととらえているんですか?
木村:僕が最初にインターネットに触ったのが、ちょうど1999~2000年の高校生のとき。そこからBBSやブログが広がり、2010年ごろからSNSが台頭してきて。昔は服を着ること、イコール、自己表現で、自分が所属しているコミュニティを表すことでもあったものが、SNSやブログで自分を表現することができるようになったので、服が担っていた自己表現や所属を表すための役割がどんどん低下してしまいました。外見をどう装うかよりも、それを着ることによって生活がどう変わっていくのかに重点が置かれるようになりました。ノームコア(究極のベーシック服)ファッションが流行ったのもその一環であり、もはや外装でカッコつける時代ではなくなったとさえ思っています。
原:むしろキメすぎることがダサい時代になってきていますよね。もう一つの流れとして、ビンテージブームもあります。長く愛用されてきたものに魅力を感じたり、一点ものの価値が高まったりしていますね。新品よりもむしろビンテージや、1点しかないオリジナリティのあるものに対する価値が改めて見いだされている状態だと思います。
瀧:確かに、SNSの普及にともなって、コミュニティやクラスを表現する服の役割が相対的に下がってきた、という指摘はその通りだと思います。とはいえ、日本に関しては、安心感があることや、安全であることに重きを置く人々がすごく増えているような気がします。でも、もう少し、「面白い生き方」「らしい生き方」を大切にしたほうがいいですよね。社会自体が保守化している気もしています。10年後、人々がどういう消費行動に変わっていくかをいつも考えているのですが、一つは、「らしい生き方」が再び大事にされていくのではないかと思っています。一人一人のストーリーを生きていくことを応援する企業でありたいなと。
原:ファッションに求める安心感の基準も変わっている気がします。昔は「流行についていけているか」でしたが、いまは「自分の邪魔をしていないか」とか、「長く着られるのか」など、別の安心感の基準が出てきているなと感じることもあります。もう一つ、木村と一緒に勤めていた、ライトオン時代からじわじわと感じていたのですが、従来の手法がどんどん効かない時代になっているなと感じています。これをすれば売れる、というようなセオリーもなくなりましたし、通用するのは値段だけ、という残念な状態にもなっていると思います。
木村:SNSで自己表現ができると言いましたが、ファッションの概念がものすごく拡張していますよね。例えば今の若い子って、イケてるスタートアップ企業で働くのがファッションなんです。服自体よりも部屋のインテリアだったり、個人のライフスタイルに注目が集まったりしていますが、それを含めてファッションといわれるようになってきて。憧れるものも、身に着けるもの以外になってきているというか。それももともとはファッション業界というか、ファッション業界人が担ってきたものだったんですけどね。
日本の繊維・アパレル業界はどう変化しているのか?
瀧:日本にはモノづくりの技術力など素晴らしい資産はたくさんあります。でも、残念ながら、繊維産業やアパレル業界がファッションから取り残されてしまっているという面は否定できません。売れているものがとらえにくくなり爆発的に売れるものは存在しなくなっているのですが、売れているものはあるんです。それは、ちゃんと考えて、ちゃんと作られているものなんです。オリジナリティがあり、本質的に良いものであれば、ちゃんと売れるんです。そこだけは今も昔も変わりません。本質が見抜かれる時代と言い換えてもいいかもしれません。ただ、二極化はしているでしょうね。
原:そうですね。僕たちの作った商品もそうなのですが、精魂込めて作った商品でも、一瞬でコピーされてしまう時代です。逆にオーセンティックなクラシックな意味合いでのファッションの正しいあり方が、世の中の大きな流れから離れた、マニアックな世界になってしまっているような気もします。むしろ、ファッション好きは、今や、サブカルのオタクと思われているフシもあります。
瀧:かつてはパリやミラノで年2回開かれるランウェイに最も価値があり、徐々にその情報が伝播して商品化されるなど、情報の非対称性がビジネスの優位性にもつながっていましたよね。けれども、今はネットやインスタなどで情報が一瞬で世界中に届く時代。ニューヨークでこれから伸びていこうとしているアパレルブランドがため息交じりに「ファッション業界がインスタのせいで疲弊している」と語っていたのが印象的だったが、SNSを含めたメディアをうまく使って情報を広げているところが、新しいファッションのあり方なのかもしれない。そういう意味でも、インスタやSNSを駆使して、D2C型ブランドに近い展開をしているオールユアーズには注目をしているんです。
ユーザーとダイレクトに対話をするD2Cブランド、ルールは「正直」であること
原:ありがとうございます。僕らの特徴は、「自ら伝える」「ダイレクトにコミュニケーションをする」ことであり、僕らがやることを正直に伝えることを大切なルールにしています。時には誤解されることもありますが、一番強いのは正直に言うことだと思っています。特にそれを感じたのは、2015年、クラウドファンディングで打ち出した商品を熊本の益城町の工場で作っていたのですが、地震がきて、大きな被害を受けてしまいました。3日後に現地入りしたのですが、工場の中はめちゃめちゃで、約束通りの期日に仕上げることは難しい状況になってしまいました。申し訳ない気持ちを持ちつつ、その状況を真摯に正直に伝えて納期遅れをお詫びしたところ、みなさん理解してくださり、キャンセルも返品もゼロ、ということがありました。
木村:誰かを介して情報を発信するのではなく、自ら直接、お客様と会話をすることが僕たちの基本なんです。そして、「必然性があるもの」を作り続けていきたいと思っているんです。今はいいものを作っていれば売れるという時代ではありません。僕たちはミドルレンジの企業として、いいものを作りながら、なぜいいのかをしっかりと伝える。すると、その良さをお客さまが勝手に他の人に伝えてくれるんです。それが僕たちの躍進の源泉であり、時代に逆張りをしている部分でもあると思っています。
瀧:D2Cの本質はそこだと思いますね。いろいろなやり方はあると思いますが、ダイレクトに伝えること、自分の言葉で、インタラクティブにコミュニケーションをすること、そして、他にはない良いものを作ること。これからの時代にはとても大切だと思いますね。
繊維商社の多様な機能を活用した、課題解決・一点突破型の協業商品を開発する
原:実は、今まで瀧定大阪さん、スタイレムさんとは取引がなかったんですよね。僕はテキスタイルではなく、それよりも川上の紡績と、縫製できるメーカーや工場と直接話をしてモノづくりをしてきたので、「買うものがないな」と思っていたんです。でも、実は、素晴らしい機能を持っていて。これまでは、営業の方の提案力が強くて、パーツの魅力をお聞きすることが多かったということと、僕の理解が足りていなかったのと両方がネックになっていました。でも、瀧定大阪さん、スタイレムさんを使いこなせたら最強なことができると気づいたんです。僕らが作ろうとしていていながらも課題があって作れなかった問題点を突破できる、プロ同士を組み合わせて新しいものを作る力が、実は瀧定大阪、スタイレムにあるとわかったんです。
瀧:実は、昔はアパレル企業のお客様から教えていただくことも多く、一緒にモノづくりを行っている感覚がありました。そのおかげで、当社の商品の完成度も少しずつ精度が上がり、提案することを受け入れていただけるようになりました。そのため、当社がしっかりとしたものを提案しなければいけないという意識が高まっています。一方で、ご指摘の通り、提案型の営業が強くなりすぎてしまっている可能性はありますね・・・。
原:でも、それが硬直化を生む原因になっていたということですね。
瀧:そう。自分たちの力を棚卸してみたら、すごい可能性があるんだということに気づかせてもらいました。自分たちがいいと思うものを作り込んで売ることに一生懸命でしたが、求められていることに対して敏感になる必要がありました。さきほど話した通りもともとIT系にいたので、この業界を客観的に見て、取ってきた施策だったのですが、鋭い指摘をいただいて、そうだよね、と納得しました。瀧定大阪は150年以上続いている老舗の生地問屋ですが、もともと自分自身でスタートアップをやりたかったし、そういうマインドでいろいろなことにチャレンジしたいと思ってきました。だからオールユアーズには共感するし、これからいろいろなことを一緒に取り組んでいきたいと思っています。
原: やることが見えたら、スピード感も早くて。8月をめどに、協働商品が2つ出る予定です。完成度をますます高めていきたいですね。
アパレルビジネスはどう変わっていくべきなのか?
瀧:それにしても、原さんは本当に服好きですよね。
原:今でも毎月、10万~20万円は服を買っていますね。「コム デ ギャルソン」からごっつい趣向性に富んだDMがたくさん届きますし、ドーバーストリートマーケットの顧客でもありますし、古着もたくさん買っています。僕たちはファッションを作っているのではないんですが、洋服好きなんです。古いものは着れば着るほど良し悪しがわかってきますし、重いな、硬いな、などを体感することで、自分が作る服では改良・改善しようという気になります。発想は素人で、モノづくりはプロであると、ずっと言い続けていますね。
瀧:私たちも、ちゃんとファッションビジネスをやりたいと思っているんです。改めてファッションとは何かを考え直そうとしているのですが、それは、ライフスタイルと言い換えてもいいかもしれません。技術が向上し、AIの導入が進めば、便利にもなるし、人から仕事を奪うことになる。いずれにしろ、大きく社会を変えることになります。
そんな中で大切にしたいのが、「人のありよう、あり方に、人が向き合っていくこと」です。人はもっとも身近である、「身にまとう服」のありようをあらためて表現することを大事にすることになるでしょう。その時、ファッションビジネスは人のありようと共感・共鳴する存在であるべきなんです。長い目でみたときに、ファッショントレンドではなく、人のありようにどこまでもつながっていくことが、ファッション業界にとっての「光」になると思っています。
一方で、サステナビリティがますます重要視されるようになっており、間違いなくルールが変わっています。環境配慮型素材や動物愛護、省資源素材などを提供することも一つの役割ではありますが、持続可能な社会のあり方を目指したときに、もっと本質的にサステナビリティに向き合っていくことが絶対必要だと思っています。良き社会市民たることが目的ではなく、経営を通じて必然的に取り組んでいく時代が到来していると思います。ファッションとサステナブルはトレードオフ、二律背反ではなく、矛盾したものを統合することにチャレンジしていくことが重要。そこにしっかり向き合うことが、ファッションビジネスの光になっていくと信じています。
スイッチスタンダードで提供したい価値とは?
原:オンラインでのコミュニケーションがスムーズになり、ワンクリックでモノが買える時代になりましたが、働き方も大きく変わっています。最近は新型コロナウイルスの影響もあり、一気にリモートワークが広がり、会社に来なくても仕事ができるような環境がますます広がってきました。便利な世の中になりましたが、だからこそ、リアルの重要性が高まっていると僕らは感じています。袖を通してみる。会話の中で良さを知ってもらう。それが、体験が深まり、ブランドとの関係性の深まりにつながるんです。
木村:今まではターゲットのお客さまを店に呼ぶのが一般的でしたが、僕たちは、ターゲットの人たちがいる場所に自ら出向こうとしています。僕たちの商売のメインは、ほぼオンラインですが、昨年は47都道府県全部でリアルイベントをし、3000~4000人に接客してきました。ただし、商品は後日お届けで、決済は全部オンライにしました。車で回るので物理的に在庫を持てないということと、売上金を手にしてしまったら使ってしまうかもと、自分が怖かったという面もあったのですが(笑)。
そして、「働き方の変化への対応」と「リアルの重要性の向上」、そして「自らお客様がいるところに出向いていく」という要素を融合させたサービスとして、3月半ばに企業向けの「スイッチスタンダード」という新サービスをスタートしました。銀行などでもカジュアル化が進むなど、服装の自由化を推進する企業が増えています。ただし、これは服装を自由にすること自体ではなく、働きやすい文化の構築や、働き方や職場の多様性を推進することが本質的な狙いだと思うんです。それが仕事で成果を上げ、業績の向上にもつながる。そんなところに、僕たちは服を通じて貢献できるのではないかと思ったんです。
原:着やすくて、毎日着られて、手軽に洗濯できて、すぐに乾く。出張にも便利です。しかも、服装の自由化に伴い、ライフスタイルの中に入り込んでいる服というのは、土日と平日が変わらなくなります。今までは週5日着る服と週2日に着る服でしたが、週7日を過ごすために、いろいろな要素に対応できる服を提案していこうと考えています。
木村:人々の働き方が変わる中で、着ているものの常識を変えていくこと、それが、スイッチスタンダードのミッションなんです。すごいスタイリッシュなものよりも、いかに働き方に貢献できるか。ファッション業界がやるべきこと、やれることはまだまだあると思っています。
原:社会の変化を「ゲームチェンジ」という言葉で表現することもありますが、そこにはちょっと無理やり変えている感がありますよね。だから、僕たちは「スイッチスタンダード」という言葉を選んだんです。僕らもゲームチェンジャー的なこともしたいし、やらなければならないと思っていますが、どこかやさしくないじゃないですか。グンと変えるよりも、すっと変わる感じのほうがナチュラルだし、気が付いたら変わっているようなさりげなさがいいなと思っているんです。明日からコレをしなさい、とか、嫌いなものでも食べなさい、ではなく、やさしくルールが変わる感じがいいじゃないですか。
木村:そう。いい悪い、とかでもなくて、「こっちのほうが気持ちがいいよね!」という感じかな。
原:ファッション業界に20年間関わってきて、今は自分たちのブランドをやり始めて5年たちましたが、従来のルールで戦えている時間が長すぎてしまった気がします。ファッションって、時間差を利用した情報ビジネスなんです。でも今はそれが同時になってしまった。かつては伝わるのに3年かかっていたものが、今は3秒と秒速になっていたりもする。しかも、まだ、新しい勝ちパターンや方法、手段を持っている方々がほとんどいない状態です。スタイレムには、パズルを完成させるピースがたくさんある。麻雀でいえば、いい手を作りに行ける状況がそろい、上がれるパイが山の中にたくさんある状態。協力いただきながら、新しいスタンダードをバシバシと決めたいと思っています。
瀧:うちも、ファブレスメーカーのようにモノを作るプラットフォームになることと、求められるものを深く洞察して形にする力と、両面を磨きながら、ファッション業界に貢献し、それを自社の成長の原動力にしていきたいですね。
「スイッチスタンダードプロジェクト」の詳細はこちら
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March 25, 2020 at 09:00AM
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