安倍晋三首相は28日、新型コロナウイルス感染拡大阻止に向けて27日に発表した全国への休校要請方針について、最終的判断を各地方自治体に「丸投げ」する考えを示した。

最終的判断は自治体や学校法人にゆだねられるためだが、結論ありきで対応を迫られた教育現場では、混乱や不安が広がっている。

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安倍首相が27日の対策本部会合で突如表明した、全国の小中高校などへの臨時休校要請から一夜明け、国民の不安や社会の混乱は拡大した。この日、首相は国会で今回の判断に至った具体的なエビデンス(証拠)を問われたが、納得できる答えはほとんどなかった。

国民生活を巻き込む判断だからこそ、準備を重ね、判断した理由について具体的に、「第一報」で発表する必要があった。休校がもたらすさまざまな影響、その対策も最低限、踏まえた判断だったのではないか。

そもそも今回は結論ありき。具体的なことを示さないから、不安も広がる。29日に会見で説明するというが、27日の第一報で説明すべきで、タイミングがずれている。さらに詰めることがあったとしても、見切り発車で発表しなくてはならない性格の問題ではない。

26日の国会では、毎日対策会議で決めたことを「いちいち外には発表しない」「そういうパフォーマンスは意味がない」と述べたが、パフォーマンスととらえる表現に違和感を覚えた。

もう1つ気になることがある。首相は書面に目を落として読み、学校の休校を「休業」と言っているように聞こえる。政治判断と胸を張るなら、書面ではなく自分の言葉で語ってほしい。【政治担当・中山知子】